選果機とは?基礎知識まとめ

選果機とは?

選果機とは、出荷する果物や野菜の商品価値を高めるために大きさや重さ、形、色合いなどで選別する機能が備わった機械のことです。個人農家が利用する比較的小型のものから共同選別施設などで利用される大型のものまであり、形や色合いなどはカメラ画像による評価方式が主流。1990~2000年代に果物の甘さ(糖度)を評価する選果機も登場し、桃をはじめ、みかんやりんご、メロン、スイカなどに利用されています。

形状選果機

形状選果機は、長さや直径などの大きさで選別するタイプの機械です。選果と仕分けが一体構造になっていることから大量処理が可能で、選果の能率が高いのも特徴。ただ、選別中の転がりや穴から落下する際に果物が傷つきやすい欠点もあります。

ドラム式

形状選果機のなかでも普及率が最も高い方式で、穴の開いたドラムを回転させて、その穴より小さい果実が下に転がり落ちる仕組みになっています。主に柑橘類で用いられており、能率の高さが特徴。ドラム式以前はベルト式が多く採用されていましたが、ドラム式の簡単な構造や規格が変わったときの対応のしやすさが評価され、現在の高い普及率を実現しています。

条間隔式

条間隔式は、先にいくにつれて間隔が末広がりになっている2本のコンベアの上を果実が運ばれていくうち、果実と同じ幅に開いたところで落下する構造の選果機です。2本のコンベアではなく、多数のロールを設置して先にいくほどロール間の間隔が広がるようにしたのが多条間隔選果機と呼ばれるもの。どちらも連続して選別でき、主に馬鈴しょやピーマン、梅、球根、里芋などに使用されています。

スパイラルロール式

スパイラルロールのねじ部分を果実の移動に使い、ロール間の間隔の開きを利用して選別する方式です。以前は温州みかんの選別で使われていましたが、現在は馬鈴しょや玉ねぎの選別に用いられています。

光学方式

光学方式とは、光センサーや画像処理で果実を選別する方法です。光学方式が開発された背景としては、ドラム式をはじめとした形状選果機だと果実同士の接触または落下時に傷がつきやすく、ランク低下のリスクがあるため。光学方式なら果実に傷をつけずに選別できるので、高単価で取引しやすいメリットがあります。

重量選果機

重量選果機は秤量部と選別部からなる機械で、機械式、てこ秤式、電子式などの方式があります。重量選果機では基準値に対して商品質量の上下限値を設定し、下限値より軽いものを軽量品、上限値より重いものは過重品、その間のものを正量品として判定。軽量品、過重品と判定されたものは選別部でラインから排除されます。

内部品質選果機

内部品質選果機とは、光センサーを使って糖度や酸度など目に見えない果実内部の成分や品質を計測する機械です。内部品質選果機には、NIR(近赤外線透過)方式とNMR(核磁気共鳴)方式があります。

NIR(近赤外線透過)方式

NIR方式とは、近赤外線を照射して青果物内部の成分や状態を調べる方法です。近赤外線には青果物を透過しやすく、内部で拡散されやすい特徴があります。また、青果物に含まれている成分に吸収されやすく、近赤外線の光がどれだけ減ったかで青果物内部の成分を分析できるとのこと。成分の解析能力も向上しており、糖質や酸度をはじめとした10項目程度の成分の同時分析が可能になっています。

NMR(核磁気共鳴)方式

NMR方式は、強い磁場のなかに置かれた試料にパルス状のラジオ波を照射し、分子構造などを解析する方法です。試料に含まれる有機化学物質を非破壊で測定できるのが特徴で、医療分野のMRI検査にも活用されています。また、NMRは分子構造のわずかな違いを判別でき、濃縮還元処理や添加物の有無などを解析することも可能。少数のデータから多くの情報を得られ、検査にかかる手間やコストの大幅な削減が期待されています。

小型選果機の特徴

小型選果機と大型選果機の違いは、主にサイズや処理能力、価格などにあります。小型選果機はコンパクトで比較的安価な選果機です。選別する果物や野菜の種類や量が少ない人や設置スペースが限られている人に向いており、小型選果機にも機能や選別できる果物に違いがあります。

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選果機のメリット・デメリット

選果機はスピーディーかつ高精度な選別が可能で、忙しい収穫時期の労力を削減できるメリットがあります。また、これまで選別にかけていた人員をほかの作業にまわすことで、生産性の向上を図れるのも魅力です。一方で、選果機によっては得意とする果物が異なり、繊細で柔らかい果物だと傷みが発生してしまうことも。傷みの発生を抑えてランク低下を避けたい場合は、非破壊での内部品質検査を行なえる光センサー型の選果機がおすすめです。

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選果機市場の動向

光学選別機市場は、2027年までに10.2%のCAGRで成長するという調査報告もあります。果物をはじめとした、食品の安全性に対し、消費者の意識がシビアになりました。食品業界全体でコスト削減が求められて作業効率化が必要とされる今、選果機の導入を検討してはいかがでしょうか。

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選果機の耐用年数

選果機の耐用年数は一律で7年です。中古で購入した場合は、法定耐用年数を超えている場は、経過年数×20%が耐用年数になります。ただし、算出値が2年未満では、耐用年数を2年として設定。法定耐用年数を超えていない場合は、法定耐用年数から経過年数を引きます。そのうえで経過年数×20%を加えた年数が耐用年数です。

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中古の選果機を選ぶコツ

選果機の中古品は費用の安さがメリットです。ただしすでに10年以上使用しているものなら、安くても再検討をおすすめします。理由は故障リスクも高いからです。修理費用を加えると新品より高くなるケースがあります。在庫部品がないと修理も困難です。

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選果機の購入に利用できる補助金

選果機の購入には、農業機械購入の補助金を利用できる場合があります。資金不足で選果機の導入を悩んでいる方に向けて、これまでにあった補助金制度の対象経費や補助上限額をまとめています。現行の補助金で利用できるものはないか、探す際の参考にしてください。

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選果機の価格

選果機の価格は、構造や性能によって価格に幅があります。何を選択するかは、自分が選果機に求めることをはっきりさせておきましょう。中古でもいいのか、シンプルな構造で比較的安価に済ませられる選果機で良いのか、高性能の選果機が良いのか、導入コストとメリットとの検討が必要です。

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